示談交渉は、得てしてなかなかまとまらないものです。あまり長期戦になると相手側の保険会社がかなり強気に出てきたりと、被害者側が不利な状況に陥ることもあります。ずるずると示談交渉を続けるなら、訴訟を考えた方が良いかもしれません。
もっとも、訴訟は弁護士がいなければほとんど目的を達成できない、または、一般の方には抵抗がある手続きだと思います。そこで、あまり知られてはいませんが今回は調停についてご説明したいと思います。
選択肢の一つとして知識は持っておくと良いかもしれません。
裁判所で行われますが話し合いの手続きです。
調停は「裁判所で双方が和解に向けて話し合う」場であり、最終的に裁判所が判決を下す訴訟手続きとはまったく異なります。
調停の申請が受理されると、裁判官と調停委員2名による調停委員会が発足します。
そしてこの調停委員会が、加害者、被害者の話し合いの場に同席し、双方の意見を聞きながら和解をするために適切と思われる内容を当事者たちに勧めたりしながら、解決を目指します。
もっとも裁判と大きく違うのは、裁判官がいながら「判決がない」ということかもしれませんね。冒頭でご説明したように、法で裁く場ではなく、あくまで当人同士が解決を目指す場所なのです。
調停に持ち込むことのメリット
示談交渉が膠着状態の時に、状況を変える方法として考えられます。もっとも、弁護士であれば訴訟が可能ですので、弁護士が就いている場合は、訴訟にすることが多いです。
訴訟に比べると弁護士がいなくても、利用しやすい手続きという点が最大のメリットでしょうか。
ですので被害者側から調停を申立てるケースは多くありませんが、保険会社側から被害者側に対し、調停が申し立てられることはあります。
調停の申し立てで気をつけること
調停を申し立てるために必要なのは申請書を書いて提出するだけではありません。
申請するには収入印紙が必要
申請書を書いて、相手方の住所を管轄する簡易裁判所に提出します。申請は無料ではなく、相手側に請求する損害賠償の金額(裁判では訴額と言います)に応じた金額の収入印紙が必要となります。2016年2月現在、
- 100万円の場合は5,000円
- 500万円の場合は15,000円
であり、請求金額が大きくなればなるほど、当然収入印紙の金額も大きくなります。
その他たくさんの提出書類がある
提出するのは申立書だけではありません。その他にも以下のようなものが必要となります。
- 申し立てが法人、未成年、代理人の場合は資格証明書
- 交通事故証明書、事故発生状況報告書など事故の証拠に関わるもの
- 医師の診断書、医療機関の診療明細書など治療に関わるもの
- 収入証明書、休業損害証明書など収入に関わるもの
などが必要となります。但し下3つの書類は話し合いが進む上で、通常必要となる資料ですので、事前に揃えることが難しい場合は、申立てを先に行い調停委員等の話を聞きながら、順次そろえていく形でも調停を行うことは可能だと思います。
調停に欠席は許されません
調停は双方の話し合いの場なので当人同士がいることが必須ですので、調停委員会からの呼び出しは法律上義務的です。欠席する場合は、必ず裁判所に事前に連絡を入れましょう。
調停が不成立に終わる場合もあります
調停には「裁判官が法による判決を下す」ということがないので、当然双方の合意が得られなければ不成立に終わるのが通常です。そうなるとますます不利になってしまう場合もあります。そうならないように、万全の体制で臨みましょう!
調停委員は、法曹資格があるとは限りません!
調停になった場合、「調停委員は、弁護士資格等を持っているとは限らない」ことを必ず頭に入れておきましょう。つまり、実は話し合いの進行に長けていても交通事故の知識はあまりない調停委員も当然います。弁護士費用担保特約がついている場合等、弁護士の依頼を検討できるのであれば、調停を申立てる前に事前に相談した方が良いと思います。
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