交通死亡事故で認められる「葬儀費用」の範囲と金額について

交通事故で被害者が死亡してしまったら、遺族は加害者へ「葬儀費用」を請求できます。
実際にいくらの費用が払われるのか、お墓、仏壇仏具購入費用、葬儀屋に払う費用などどこまでが補償されるのか、正しい知識をもっておきましょう。

今回は死亡事故で遺族に支払われる葬儀費用の範囲や金額について、弁護士が解説します。

1.葬儀費用は交通事故と因果関係のある損害

被害者が交通事故に遭って死亡したとき、「そもそも葬儀費用が『損害』といえるのか?」と疑問を抱く人がいます。人はいつか亡くなるものですし、亡くなったら葬儀をしなければなりません。「事故が起こらなくても葬儀は必要なのだから、葬儀費用は交通事故によって発生したとはいえないのではないか?」と考えるのです。そうなると、葬儀費用と交通事故の因果関係が否定されて損害賠償請求できなくなってしまうでしょう。

法律上、葬儀費用は「交通事故によって発生した損害」として「因果関係」が認められます。確かに事故がなくても人はいつか死亡しますが、事故がなかったらそのタイミングで死亡することはなく、葬儀を出す必要はなかったといえるからです。

以上より交通事故で被害者が死亡したら、遺族は加害者側へ葬儀費用を請求できます。自賠責保険でも任意保険でも葬儀費用は補償の範囲内に入っています。

2.葬儀費用に含まれるもの

具体的に葬儀費用として請求できるのはどういった費用なのでしょうか?

2-1.基本的に含まれる費用

以下の費用については基本的に「葬儀費用」として相手に請求可能です。

  • 火葬の費用
  • 葬儀社へ支払う費用
  • 読経代、戒名代、お布施
  • お花代
  • 弔問客へ提供する食事代
  • 死亡した遺族の交通費

2-2.別途認められる可能性のある費用

以下のものについては、葬儀費用そのものではありませんが別途「損害」として認められる可能性があります。

  • 墓石建立費
  • 仏壇仏具の購入費用
  • 遺体搬送費、遺体処置費

2-3.葬儀費用に含まれない費用

以下のような費用は葬儀費用に含まれず、加害者側へ請求できません。

  • 遺族以外の参列客の交通費
  • 引き出物代
  • 49日を超える法要の費用
  • 香典返し

2-4.香典返しについて

お葬式を催すときには、弔問客へ「香典返し」をするものです。香典返しとは、参列者からいただいたお香典に対する返戻金で、一般的には香典の金額の半額程度のお品ものを贈ります。
参列者が多くなれば香典返しにかかる金額も多額になるでしょう。「香典返しも遺族が葬儀のために支出したのだから加害者に請求できないのか?」と考えて弁護士に相談される方がおられます。

法律上、香典返しは交通事故によって発生した損害とは考えられていません。香典返しは遺族が参列者や香典を贈ってくれた人へ「気持ち」でお返しするものであり、「義務」ではないからです。交通事故そのものによって発生した「損害」にはならないので、遺族は香典返しにかかった費用を加害者側へ請求できません。

保険会社との示談交渉時だけではなく、裁判をしても香典返しについての損害賠償は認められません。

2-5.香典と損益相殺

たとえば被害者の死亡によって健康保険からの給付金を受けとったら、その分は損害賠償金からマイナスしなければなりません。
交通事故の損害賠償金の計算時には「損益相殺」が適用されます。損益相殺とは、被害者側が事故によって利益を得たとき、その利益分を賠償金から差し引くことです。利益を得た分を考慮せずに損害賠償請求だけ認めると、被害者側が「二重取り」してしまう結果となり不公平になるので損益相殺が認められます。

香典は被害者が死亡したことによって遺族が得られるお金なので、利益となって損益相殺されるのでしょうか?

法律上、「香典は損益相殺の対象にならない」と考えられています。お葬式を開いても必ず香典が贈られてくるとは限りませんし、香典はそれぞれの参列者が気持ちとして遺族へ贈るものです。

「交通事故を原因として遺族が得た利益」にはならないので、香典は損益相殺されません。香典の金額が高額になっても、相手に請求する葬儀費用から差し引かれる懸念は不要です。

3.自賠責保険の葬儀費用の限度額

次に死亡事故で認められる葬儀費用の「金額」についてみていきましょう。
自賠責保険から支払われる保険金は国が定める基準によって定められていますが、近年自賠責基準に変更がありました。2020年4月1日以降の交通事故の取扱いとそれ以前の交通事故の取扱いが変わっています。
2020年4月1日以降の交通事故の場合、葬儀費用として認められるのは100万円です。
それより前の交通事故の場合、原則として60万円が認められ、必要かつ相当な出費であれば100万円までの葬儀費用が認められる扱いです。

自賠責保険の場合には「100万円が限度」と覚えておくと良いでしょう。

4.法的基準の葬儀費用の限度額

弁護士や裁判所が交通事故の損害賠償金を計算するときには「弁護士基準」「裁判基準」といわれる法的な基準を用います。

法的な基準の場合、葬儀費用は基本的に150万円として、実際に支出した金額がそれより低ければ支出した金額が支払われます。

たとえば葬儀費用が200万円かかった場合は150万円が限度となりますが、葬儀費用が120万円の場合には120万円全額が支払われます。

4-1.限度額を超えて認められるケースについて

法的基準の場合、基本的には150万円が限度ですが例外もあります。状況によっては200万円程度までの損害が認められる可能性があります。

たとえば銀行の支店長が死亡した交通事故において、支店長という立場上大規模な葬儀が必要になるのはやむを得ないとして200万円の葬儀費用が認められた事例があります(平成13年7月11日札幌地判)。

他にも、プリント会社勤務の24歳女性が交通事故で死亡して170万円の葬儀費用が認められたケース(平成14年3月7日 大阪地判)、栄養士の25歳女性が死亡して180万円の葬儀費用が認められたケース(平成16年11月25日横浜地判)などがあります。

法的基準の場合、必要性があって実際に高額な葬儀費用を支出したことを証明すれば、150万円を超える金額が認められる可能性があるといえるでしょう。

4-2.葬儀費用とは別途認められる損害について

法的基準の場合、葬儀費用には直接入らなくても「別途認められる関係費用」があります。

  • 仏壇仏具購入費
  • 墓碑建立費
  • 遺体搬送料
  • 遺体処置費

上記の費用は「葬儀費用」ではありません。ただ被害者が死亡したことによって発生する損害には変わりないので、別途損害として加害者に請求できる可能性があります。その場合でも全額が認められるとは限らず、裁判所が裁量によって一部を認めるケースが多数です。
裁判例では以下のような事例があります。

  • 葬儀費用100万円に足して、墓石建立費267万円、墓地使用料52万8000円、仏壇購入費16万7000円の合計436万5000円が認められたケース(平成元年1月30日 横浜地判)
  • 9歳の子どもが死亡して、葬儀費用の他に墓地墓石の購入費用として120万円、購入費以外の墓地関連費用として100万円、計200万円が認められたケース(平成9年8月12日 浦和地判)
  • 葬儀費用の他、納棺・遺体搬送費として約45万円、仏壇費用として約43万円が認められたケース(平成12年3月23日京都地判)

5.裁判所によって運用が異なる

交通事故の損害賠償金計算方法は、全国の裁判所によって運用が多生異なります。地方により、葬儀に関する慣習や相場の費用も異なるので、全国一律の基準になっているわけではありません。
葬儀費用についても、上記の150万円を限度とする運用は東京地裁のものであり、実際には地域によって130万円~170万円程度の幅があります。
墓石建立費や遺体搬送費用を「原則として葬儀関係費に含み、別途の損害としては考慮しない」裁判所もあります。

6.保険会社からの主張に納得できない場合

交通事故の被害者には法的基準で賠償金を受け取る権利が認められますが、保険会社からは必ずしも適正な金額が提示されません。自賠責保険基準に近い金額を提示されるケースもあるでしょう。
納得できないときや疑問を感じたときには、交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう。弁護士が示談交渉や訴訟に対応すれば、より高額な葬儀費用を支払わせられる可能性があります。
死亡慰謝料や逸失利益も大きく増額される可能性がありますので、死亡事故で無念にもなくなられた被害者の思いを晴らすためにも、DUONの弁護士までご相談ください。

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